来る働き方改革関連法案の施工により、飲食業界では人材不足に追い風が吹くと言われています。
そんななか、新しい時代の労働者として、「助っ人外国人」に目が向けられています。
「うちでも採用してみようかな…」
「入社してから問題起こされたら面倒だな…」
そもそもコミュニケーションがきちんと取れないかも…
こんな思いでいる経営者の方も少なくありません。
今回は、実際に外国人を採用した後に抑えるべきポイントをご紹介します。
外国人労働者の雇い入れの重要性はこちらの記事に書いています。
記事:飲食店の人材確保【前編】外国人採用に目を向けてみよう
外国人を採用後はこの4つのポイントに注意
1:日本語力にムラがある
完璧な日本語が話せる・理解できる外国人人材を求めても、なかなかそんな方はいません。多くの外国人が「日常会話レベル」の日本語使用者でしょう。この「日常会話レベル」というのが肝です。人によっては「え?それが日常会話レベル?」と思うようなこともあるでしょう。それだけ個人差があります。
➤ 雇用者の対応
外国人によってムラがある「日常会話レベル」の日本語力。これに対処するためには、雇用者側で「レベルの細分化」をしましょう。ある程度の基準(敬語は使えないけど会話できる程度など)を設定し、直接接客に関わるスタッフとそうでないスタッフに分けます。
言葉がハンデになってくるのは外国人も理解しています。大切なのは、それをどう受け入れて対応するかという会社側の姿勢です。事業者によっては、日本語学習のサポートをしたり、外国人用の日本語接客マニュアルを作成したりしています。
言葉の壁を一緒に乗り越えていけるような対応をすることで、長期間続けてくれる将来の社員候補も見つけられる可能性もあります。お客様に迷惑にならない程度で柔軟に対応しましょう。
2:習慣や文化が違う
国が変われば、色々変わります。普段の食事や文化的な背景、信仰や価値観まで、人によって実に多様です。同じような価値観や文化的背景を持った集団は、異物をうまく受け入れられない</strong>ケースがあります。外国人の新人をなかなか受け入れらないとか、理解しようとしないスタッフも中にはいるでしょう。
➤ 雇用者の対応
まずは店長、経営者らリーダー自らが率先しコミュニケーションを取ったり、理解を深める努力をしましょう。相手の文化や母国語の質問をしてみたり、好きな母国の料理の話をきいてみたり、まず相手に興味を持つことが大切です。
何もなくても…「何か困っていることはある?」とか、お休み明けには…「休みは何をしていたの?」とか。
「え、そんなこと?」と思うかもしれませんが、その些細な誰でもできそうな言動一つ一つがとても効果的で、外国人は受け入れられていると感じます。特に休日の過ごし方について、日本人は聞かれるのが苦手ですが外国人は真逆です。良いコミュニケーションの糸口になるので是非聞いてみましょう。
職場には早く馴染んでもらいたいですよね。こういった毎日の小さな行動や言葉こそがスタッフの意識を変え、職場環境を変えていきます</span>。そういう良い雰囲気の職場は良い連鎖が生まれます。「働きやすい職場だ」と感じた外国人スタッフが他の外国人を紹介しれくれたり、長期間働いてくれて会社に大きく貢献する人材に成長したりするかもしれません。
変わるべきは採用された側の「外国人」ではなく、「受け入れる側」であることを忘れてはいけません。
3:時間に対してルーズ
聞いたことがあるかもしれませんが、外国人は日本人と比べて時間にルーズな方が多いようです。「来日して一番驚いたことは電車やバスが時間通りに来ること!」という外国人がいることからも、日本は非常に時間に正確な文化であると言えるでしょう。時間にルーズな外国人も悪気が無い場合があるというのがこのポイントの注意点です。
➤ 雇用者の対応
時間厳守、これは日本で働くにあたってのルールです。時間厳守はルールであることをしっかり教えてあげましょう。
多くの場合は、文化の違いによるところが大きく、指導をすることで改善します。一方で、育ってきた文化の影響が強く、何度言っても改善されない場合もあるでしょう。
その場合は、闇雲にペナルティを課するのは止めましょう。改善する余地を与えた」とすることが大切です。</span>①口頭注意、②書面での注意と署名、③懲罰処分というように、段階を踏んで順守してもらえるような仕組みづくりをしましょう。
4:仕事の範囲は明確に線を引く
自分の担当ではないことに対して、はっきり「これは私の仕事ではない」と言う人。これは外国人でなくとも最近日本人でも多くみられるようになりました。自分の責任を全うする為、他のことはやりません・できませんとはっきり言うこと、これは決して悪いことではありません。これが店舗内で働くスタッフ同士であればあまり問題になりません。しかし、対お客様だと少し状況が変わってきます。接客業の難しいところですね。お客様に対しては、自分の責任範囲外でも問題を受け入れる力をトレーニングする必要があります。
➤ 雇用者の対応
世界には、お詫びすることを良しとしない文化もあります。しかし、日本人がよく使う便利な言葉「すみません~」に代表されるように、日本人はお詫びするのにあまり抵抗がない方が多いです。お客様もまた、お詫びされる文化に慣れています。
外国人スタッフにまず理解させるべきは、 たとえ自分の仕事責任範囲ではなくとも(対応可能なものであれば)お客様からの要望やクレームは一旦は聞くということ。不必要に謝る必要はありませんが、自分の責任範囲外のことでも理解しようとする姿勢を見せることが大切です。
①相手の状況を理解し、②深く同情し、③そんな気持ちにさせてしまったことが残念だと伝える。
この3つのプロセスをトレーニングして実践させましょう。話を聞いてあげた時点で苦情や問題のほとんどが解決しています。
また、お客様が怒っているときに状況がよくわからず笑顔で対応してしまったり、お客様からのクレーム内容を聞いて感情的な対応をしてしまったりということがあります(外国人に限ったことではありませんが)。
そういう状況も想定し、決してその場で対応させず、必ず誰かを呼ぶよう習慣づける必要もあるかもしれません。一方で、ある程度日本語が理解できるリーダー的外国人スタッフであれば、感情を抑えて「お客様のお話を聞く」トレーニングをすぐに実践できるかもしれません。
外国人スタッフの日本語レベルに合わせて入念に教育しましょう。
実際に受けたクレームをご紹介します。
ある店舗前に設置した看板の位置について、近隣店舗からクレームを受けた外国人スタッフが、「それは私の責任じゃないから知らない」といったそうです。その態度をとられた近隣店舗からクレームが上がりました。一言「今聞いた内容を店長へ伝えて返答します」など、簡単でいいので話を聞いていれば何か違ったかもしれません。
近隣の店舗もまたお客様です。対応によっては敵にも味方にもなりえますので、注意が必要です。
文化や言葉の壁は低くはないかもしれません。しかし、受け入れる側の事前準備と対応次第では、その外国人スタッフこそが近い将来店舗のキーパーソンとして育ってくれるかもしれません。
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