東京都の最低賃金はいまや1,113円(2023年10月1日~)に。東京都内をはじめ、大都市圏での飲食店出店コストは年々高くなってます。人件費もさることながら、地代・家賃も年々高騰しています。飲食店経営者にとって大きな負担となっているこの家賃をうまく軽減できる方法があったとしたら・・・
今回は家賃軽減のひとつの方法として検討できる「シェアレストラン」の開業についてです。
出店立地の記事<出店立地を判断するうえで重要な5つのポイント> https://beaunois.jp/2019/09/19/ <お得に出店するなら「二等立地」がおすすめ https://beaunois.jp/2019/09/20/>でも触れた通り、出店を考えるときにまず考えるべきは、そのお店の収益構造です。いくら売り上げたらいくら儲かるのか(儲けたいのか)をまずは明確にしましょう。そのうえで、目標を達成するのに最適な出店地選びや物件選びをすることが重要です。なぜなら、出店後すぐに店舗丸ごと変えることは難しいからです。目標とする売上と利益が明確ならば、闇雲に一等立地の好立地でなくとも採算の取れる出店が可能かもしれません。
出店地選択は慎重にならなければなりません。候補の中でより好条件な物件を探し当てることが重要です。
ただし、もし次のような状況になったら、皆さんならどうしますか。
理想的な立地で比較的好条件の居抜物件を探し当て、ようやく契約までたどり着いた。脱サラして、念願のワインバーを出店。幸運にも、店舗の前オーナーから厨房機器などの造作も割安で譲ってもらえた。おかげさまでそれほど改装費をかけずに開業できた。人件費はとりあえず抑えたいので、従業員は雇わない。自分1人での運営。順調な滑り出しだったが、開業後数か月経過したら集客に悩みだした。駅前で人通りも多く、比較的視認性の高い物件なのに、なぜだ?今じゃ開業前の収支イメージからはほど遠い。しかも好立地なだけに家賃は安くない。当初は夜のみの営業予定だった。この状況だと、ランチ営業もすべきか?駅前立地を活かしたら、勝機ありかも。だが、思うようなメニュー開発や集客ができる気がしない。しかも、運営は自分1人。ランチメニューも自分で仕込むのか…。昼から深夜まで通しての営業、身体が壊れるかもしれない…。
これはワンオペ経営者の実際によくある悩みの事例です。
シェアレストランはどういう仕組み?
この問題を解決してくれるのが今話題の「シェアレストラン」。つまり間借り営業です。美容室やサロンの「面貸し(めんがし)」や「ミラーレンタル」と呼ばれる形態と同等といえます。
夜だけ営業している飲食店でランチタイムのみの間借り営業や、店舗休日や昼間の厨房を活用しお弁当の仕込み・調理を行い販売したりというのは昔からたまに見かけることはありました。しかし、実はその逆も可能です。
例えば前出の夜のみバー営業のお店などで、
◎ 基本的な厨房機器類が揃っている
◎昼間のランチ(休日・夜の営業)需要にも応えることのできる立地
この条件をクリアしていれば、あとは家主の承諾さえ取れれば問題なく始められます。
最近はこの「シェアレストラン」や「シェアキッチン」のマッチングサイトも充実しています。貸したい側と借りたい側のニーズをつなげてくれます。
シェアレストランのメリットは?デメリットは?
貸したい側の一番のメリットは、家賃負担が軽くなることです。
先ほどのワインバーでいうと、例えば18時~25時までの営業時間として、開店準備を16時から、閉店作業を26時までやっているとします。実質の店舗使用時間は16時~26時の間の10時間ほどです。
(事前に主さんの了解や賃貸契約書の内容を確認する必要はありますが、)当然ながら、家賃は1日10時間使おうが24時間使おうが変わりません。
その店舗をワインバーとして使用している10時間以外の時間を有効活用し、少しでも家賃収入に代わる売上や対価があれば通常営業だけのお店と比べても随分楽になりますよね。昼夜両方で営業することによって認知度があがる</strong>可能性もあります。
一方で、実はデメリットもあります。
一番のデメリットになり得るのは、本業に支障が出ることです。もちろん、シェアしているお店の店舗の使用状況次第です。シェアする相手が信頼出来、適切にお店を使ってくれるのであれば問題ありません。しかし、必ずしもそうでない場合も実際にあります。水光熱費などの見えないコスト負担も事前に話し合って決めておかないと後々トラブルになります。
まとめ
シェアリングエコノミーがますます加速している昨今、飲食業界にももちろんその波が来ています。他人とモノを貸し借りする際の礼儀は、そのモノが何であろうと基本的には一緒です。