お店やオフィスを開業する際は、立地について考えます。飲食店に限らず、どのような事業であってもロケーションは重要です。

飲食店の場合は、一般的に以下のような場所が良いと言われています。

             ◎自宅に近い(住宅街)

             ◎オフィスや商業施設が集中している

             ◎駅周辺で人通りが比較的多い

このような場所は苦労せずとも集客が簡単に狙えると言われています。

本当にそうでしょうか。

お客さんが来店しやすい(集客ができる)場所=良い立地であることは素人でも分かりますが、では具体的に何を基準にその点を見極めればよいのでしょうか。開業後の立地は簡単に変更できません。店舗の中身は変えられても、お店丸ごと引っ越すとなるとたとえ小さなお店であっても大変です。

今回は立地を判断する際に重要な5つのポイントを見ていきましょう。

集客できる立地のポイント

①人口統計や駅の乗降者数データ

人がいなければ始まりません。候補地として検討している場所のおおよその住の数や駅利用者数をまずは把握しましょう。昔は役所等で情報収集をすることが多かったのですが、今ではインターネットである程度のデータ収集も可能です。あなたの検討しているロケーション周辺の人の流れを考慮したうえで、人口にまつわるデータを集めましょう。

②交通量・通行量

希望する物件の候補をある程度絞れたら、店舗物件前の歩行者の通行量を数えましょう。上述したとおり、人の数だけでなく、人の流れや動きにも注目する必要があります。非常に賑わっているエリアでも、1本道が違えば通行量が激減することはよくあります。また、同じ道でも一日のある一定の時間帯のみ賑わっている場合もあるでしょう。人の流れは様々な要因が絡み合って生まれます。何が理由でそうなっているのか、という頭をもって分析することが大切です。主要道路の交通量はデータが公表されている場合もありますので、ここでも丁寧なデータ収集を心掛けましょう。

③店舗立地周辺の環境

候補地としているロケーションの近隣にある駅、商業施設などに関連した情報を入手して大体の市場規模を把握することも重要です。これも上述してきた人の流れを分析する作業の一環です。昨今はインターネット上で入手できる情報が非常に豊富になりましたが、経済産業省が統計データを公開している「商業統計」なども是非参考にしてみてください。

④客目線での立地

飲食店はサービス業ですので、お客様の目線で立地を選ぶことも非常に重要です。これまでお伝えした1~3までの重要ポイントを分析すると、どのようなお客様があなたの店に来店する可能性があるのかが見えてきます。その場所によく訪れる買い物客、その地域で過ごすことの多いお年寄りなど、考え得る様々な立場のお客様の目線で立地を検討しましょう。地域住民の方からの目線で立ち寄りやすい場所や車を運転しやすく駐車しやすい道路など、色々な観点から見ることが有効です。ご自身では客観的に見れないという方は、ご家族やお友達に聞いてみるのもいいかもしれません。

⑤周辺の競合他店の状況

周辺エリアに競合店は出店していますか?出店している場合は真っ先にチェックしましょう。お店のコンセプトやメニューの価格帯など、ライバルとなる飲食店について知っておくことは非常に重要です。逆に、視点を変えて、その地域に無い業態・業種を探すのもひとつの作戦です。競合店調査をしているなかで、その地域に無いものに新たな需要を生み出す商機があることも。例えばラーメン店激戦区にどうしてもラーメン店を出店したい場所は、その地域に無い種類のラーメンを提供するのも可能性としてはありです。

「何を」×「どのように」×「どこで」売るのか

あなたの開業されるお店の「業種」「業態」はなんでしょうか?

例えば、うなぎ屋さん。

①大衆をターゲットにした親しみやすい雰囲気で比較的安価でうなぎを提供するお店

②ビジネス接待や企業トップも利用するような個室をメインとした洗練されたサービスと雰囲気、高級料亭並みの品質のうなぎを提供するお店

①②ともに「業種」は「うなぎ料理店」ですが、売り方(ターゲット)が全く違いますね。つまり業種は「何を売るか?」、業態は「どのように売るか?」をコンセプトづくりの時に考えて決断しなくてなりません。

「何を」(業種)「どのように」(業態)「どこで」(立地)で利益を出せるかが全てです。

そして最も重要なことは、その「どこで」を選ぶ際に、店舗の賃貸料があなたが立てた事業計画に見合う賃貸料条件であること、つまり見込んだ売上に対して高すぎる家賃でないことを徹底的にチェックしてください。固定費の削減は非常に難しいです。高いお金を払えば理想どおりの立地を手に入れることができるかもしれません。しかし、家計に置き換えて考えてみてください。リスクが非常に高いです。繰り返しますが、開業後は出店場所を簡単には変えられません。

まとめ

以上が飲食店の立地を考えるうえで重要視していただきたポイントです。店舗を運営し継続するとなると、店舗の売上(収益)は重要です。

その売上は「客数 × 客単価」という非常にシンプルな原則で成り立っています。このうち「客数」に影響を与える集客を増やすための立地を選ぶことが潰れない飲食店には必須です。

じっくり考えて、納得できる決断をしてください。立地選びを間違えると、その後の経営が非常に厳しくなります。最後にもう一度、開業後は簡単に立地を変えられません。丁寧にデータ収集を行い、しっかりと分析していきましょう。その際の一助となるようなお手伝いをプロにお任せすることも可能です。

ボーノワ Beaunois では、マーケットリサーチのみなど、部分的なご相談やコンサルティングも承っております。お気軽にご相談ください。